複合処理
複合処理とは
工具や機械部品の性能および耐久性の向上のため、セラミックコーティング(PVD)によるTiN、CrNそしてDLCなどの硬質な薄膜の利用が盛んとなり、従来にも増して過酷な使用条件下では膜の密着性を始めとした信頼性の更なる向上が要求されています。
ラジカル窒化処理では、化合物層のない窒化処理が可能です。ラジカル窒化処理後の表面は、窒化前の仕上げ加工による表面粗さをほぼ維持します。処理後の平滑で清浄な表面状態により、研磨などの後加工を必要とせず、引き続きセラミックコーティング(PVD)処理加工を行うことを可能にしました。
ラジカル窒化処理は、金型・機械部品・工具といったTiN・CrNなどのセラミックコーティング(PVD)処理をする製品の下地を強化し、PVD被膜の特性や耐久性を向上させる処理として高い評価を得ています。また、DLCなどの硬質炭素膜処理にも応用することができます。
複合処理の特長
特長1基材とセラミック被膜の密着力を高め、金型や機械部品の耐久寿命を飛躍的に向上させます。
特長2基材に窒素を浸透拡散させることにより基材表面の硬さを増加し、機械的強度を向上させ、セ ラミック膜の耐久性をさらに向上させます。
特長3高面圧下での耐久性が向上します。
特長4高温プロセスより寸法変化が少ない処理です。
ラジカル窒化による複合処理例
複合処理効果の比較
ラジカル窒化処理の実用例とその効果
用途 | 種類 | 材質 | 適用処理 | 効果 |
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熱間鍛造 | パンチ | SKD61、SKD4 | ラジカル窒化単独 | ・ヒートクラックの抑制 |
樹脂成形 | コア、スライド、ピン、キャビティー | NAK55、NAK80、DH2F、HPM1、HPM50 | ラジカル窒化単独 | ・耐摩耗性向上 ・寸法変化極小化 ・シボ加工面の表面粗さ変化小 |
SUS420J2、STAVAX、HPM38 | ラジカル窒化単独 | |||
転造 | 転造ダイス | SKH51、SKD11 | ラジカル窒化単独 | ・耐摩耗性向上・歯先のチッピング防止 |
摺動部品 | コンプレッサー部品 | SUS系材 | ラジカル窒化単独 | ・バネ性維持し、耐摩耗性向上 |
冷間プレス | 曲げ型 | SKD11、DC53、SLD10 | ラジカル窒化+TiCN、CrN、DLC | ・高面圧下での耐久性向上・高温プロセスより寸法変化小 |
絞り型 | ラジカル窒化+TiCN、CrN、DLC | |||
パンチ | SKH51、HAP40 | ラジカル窒化+TiCN、DLC | ||
トリミングパンチ | ラジカル窒化+TiCN、DLC | |||
ファインブランキング | ラジカル窒化+TiCN | |||
射出成形 | スクリューヘッド | SKD61 | ラジカル窒化+TiCN、CrN | ・耐摩耗性の向上・密着力の向上 |
Alダイカスト | 金型 | SKD61 | ラジカル窒化単独 | ・ヒートクラックの抑制 |
ラジカル窒化+CrN、TiAlN | ・耐Al溶損性の向上・密着力の向上 | |||
中子ピン |