ラジカル窒化
ラジカル窒化とは
ラジカル窒化法は、従来のガス窒化などの窒化法とは異なり、化合物層のない窒化を可能にした新しい理論に基づくプラズマ表面改質法です。 ラジカル窒化法は、ガス流量・処理圧力・プラズマ出力などを高精度に制御して得られる窒化作用の高いラジカル(活性種)を効率よく利用して窒化を行います。窒化処理中のイオンとラジカル(活性種)の生成量を調整することにより、化合物質の生成を抑えた窒化を可能にしています。
ラジカル窒化後の断面組織写真
ラジカル窒化処理をした各種鋼材の硬さ分布(500℃ 6時間)
ラジカル窒化の特長
特長1金型や工具に発生するエッジ部の欠損やヒートクラックの発生が改善できます。また、化合物 層による寸法変化や歪みの発生がありません。
特長2材質や要部の形状ごとに、最適な窒化条件を選択できます。また、部分的な窒化防止が容易 です。
特長3処理後の表面状態は、面粗さの低下も僅少で表面状態も良好です。
特長4PVD処理との複合処理では、硬質膜と製品表面に生じる大きな硬さの差を緩和し、硬質膜の密 着力と耐久性を一段と向上させることができます。
特長5ラジカル窒化後の窒化部分は、溶接加工が可能です。また、化合物層がないのでメッキも容易 です。
鋼種名 | Rzjis(μm) | ||
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未処理 | プラズマ窒化 | ラジカル窒化 | |
SKH51 | 0.08 | 0.23 | 0.09 |
SKD61 | 0.08 | 0.30 | 0.14 |
SKD11 | 0.09 | 0.36 | 0.22 |
処理条件 プラズマ窒化 500℃ 1時間
ラジカル窒化 500℃ 6時間