NEO VCコーティング
NEO VCコーティングとは
DLCとは、ダイヤモンドライクカーボン膜の略称で、ダイヤモンドと似た特性を持つアモルファス構造の炭素膜です。高硬度による優れた耐摩耗性と低い摩擦係数を有した皮膜で、自動車部品、機械摺動部品、コンプレッサー部品、金型・治具類などに適用されています。当社は、UBMS法+PACVD法で成膜するDLC-P(a-C:H:水素含有アモルファスカーボン)、カソードアーク法で成膜するDLC-A(ta-C:テトラヘドラルアモルファスカーボン)、UBMS法で成膜するDLC-S(a-C:H:水素含有アモルファスカーボン)が成膜できます。また、膜中にSiを含有させたSi-DLCやWを含有させたW-DLCも成膜することができます。 多様なバリエーションのDLC膜で、自動車部品や機械摺動部品の低摩擦を実現し、耐摩耗性を向上させます。
NEO VCコーティングの特長
特長1処理温度は200~250℃の低温で可能です(浸炭焼入れ焼き戻し材、軸受鋼への成膜も可能)
特長2成膜可能な膜種は6種類、硬さのバリエーションが豊富です。(12GPa~70GPa)
特長3DLC-Aは、水素含まないDLC膜で、高硬度の皮膜(60~70GPa)です。オイル中の添加剤との相乗効果で低摩擦を発揮します。
特長4Si-DLCとW-DLCは、相手攻撃性が低く皮膜硬さも低いので、面圧が高くてDLC-Pなどではもたない摺動部品に適用可能です。
特長5Si-DLCは、大気中無潤滑下で0.1以下の低い摩擦係数を実現します。
特長6鉄鋼材料、超硬合金など電気伝導性のある材質に処理ができます。
NEO VCコーティング膜種一覧
商品名 | DLC-P | DLC-S | DLC-A | Si-DLC | W-DLC(H) | W-DLC(S) |
---|---|---|---|---|---|---|
膜種 | a-C:H | a-C:H | ta-C | a-C:H:Si | a-C:H:W | WC:H |
成膜方法 | PACVD | UBMS | カソードアーク | PACVD | UBMS | UBMS |
標準膜厚 (中間層含む)(μm) |
2.5±1.0 | 2±1.0 | 1±0.5 | 2.5±1.0 | 2±1.0 | 2±1.0 |
被膜硬さ(Gpa)※1 | 20~24 (1800~2300Hv) |
35~40 (3200~3700Hv) |
60~70 (5500~6500Hv) |
10~18 (900~1700Hv) |
20~25 (1800~2300Hv) |
8~15 (700~1400Hv) |
表面粗さRa(μm)※2 | 0.05以下 | 0.05以下 | 0.15以下 | 0.02以下 | 0.02以下 | 0.02以下 |
"ロックウェル圧痕試験による 密着性評価(HF)※3" |
HF2~3 | HF2~3 | HF1~2 | HF3 | HF2~3 | HF1~2 |
スクラッチ試験による 臨界荷重値(N) |
59 | 69 | 31 | 51 | 50 | 43 |
摩擦係数※4 | 0.1~0.2 | 0.1~0.2 | 0.1~0.2 | 0.05~0.1 | 0.1~0.2 | 0.1~0.2 |
耐摩耗性 | 〇 | 〇 | ◎ | △ | 〇 | △ |
相手攻撃性 | 〇 | 〇 | × | ◎ | 〇 | 〇 |
接触角(°) | 74 | 69 | 80 | - | 67 | 59 |
処理温度(℃) | 200~250 | 200以下 | 220以下 | 200~250 | 200~250 | 200~250 |
※1 ナノインデンテーション法で測定、基材SKH51
※2 基材SKH51、処理前の基材表面粗さは、Ra0.01以下にラップ加工した物を使用。
※3 ロックウェル硬さ試験機による圧痕試験評価。基材SKH51、独VDI3198規格に沿って評価した。数字の小さい方が密着性が良い。
※4 ボールオンディスク型摩擦摩耗試験による評価。試験条件、相手材φ6mmSUJ2ボール、大気中、無潤滑、試験荷重3N、摺動数10000回転
DLC装置外観
設備概要
処理帯:直径650mm×高さ850mm
ターンテーブル:12軸、φ128mm×H850mm/1軸
耐荷重:75kg/1軸、12軸で750㎏