プラズマ浸炭
プラズマ浸炭装置
プラズマ浸炭装置は、熱エネルギーに加え、直流グロー放電によるプラズマの電気化学作用を利用して、金属材料表面に炭化物を形成させ、機械的強度を向上させるプラズマ熱処理装置です。
産業界における省エネルギー・省資源・エレクトロニクス化など、めざましい技術革新の発展とあいまって工業部品の品質はこれまでにない厳しさを求められており、高機能・高品質の熱処理への需要が飛躍的に高まっています。
当社が開発したプラズマ浸炭法は、「クリーンな作業環境」の中で高効率かつ高精度の安定した品質が得られ、従来の浸炭法では不可能とされていた「高濃度浸炭」や「難浸炭材への応用」などに優れた特徴が認められ、その幅広い実用化への道が拓かれました。
PMF-754型プラズマ浸炭装置
プラズマ浸炭とは
被処理物を真空炉内でヒーターにより浸炭温度まで加熱します。次に炉体・断熱材を陽極、被処理物を陰極とし、メタンやプロパンといった炭化水素系ガスを含む133~400Pa程度の希ガス雰囲気中で両極間に数百ボルトの直流電流を印加し、グロー放電を発生させます。グロー放電で生じたプラズマ中での種々の電気化学的作用により、炭化水素系ガスなどのイオンが被処理物表面に作用し浸炭が行われます。
加熱源には主にヒーターを用いますが、イオンによる浸炭と同時に被処理物表面の活性化やクリーニングといったプラズマの効果により他の浸炭技術にない特性が得られます。
プラズマ浸炭の特長
特長1従来のガス浸炭に比較して,浸炭時間が短縮できます。
特長2高濃度浸炭が簡単に行えます。
特長3粒界酸化のない浸炭処理ができます。
特長4浸炭の部分防止が容易にできます。
特長5焼結材,ステンレス鋼,Ti材,Ti合金などの浸炭が容易にできます。
複雑形状品のプラズマ浸炭
Ti合金のプラズマ浸炭組織
粒界酸化の比較例
プラズマ浸炭処理した各鋼種の硬さ分布曲線
難浸炭材のプラズマ浸炭処理
プラズマ浸炭処理した各鋼種の炭素濃度曲線